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pygmaliondays

夢を見ない人間に未来はない。企業という言葉は創造と同義である。

スタートアップ大国・イスラエルの名門大学まとめ

この記事では個人的にめちゃくちゃ注目している国、イスラエルの大学について解説する。

 

イスラエルとは中東にある人口800万人ほどの小さな国だ。

面積は四国くらいだし、人口も東京より少ない。

しかし、建国されてまだ68年、生産年齢人口は15~24歳が15.7%、25~64歳が46.6%であり、2007年時点では平均年齢は29.7歳。非常に若々しい勢いのある国である。

 

そして近年はスタートアップ大国としても知られ、多くの国が注目している。

www.recruit.jp

 

thebridge.jp

 

www.businessinsider.com

 

 

そんなイスラエル大学進学率は、2014年時点で66%ある

(現地の人もこれくらいと言っていたのでほぼ合っていると思う)

日本は62.41%なので、人口の差もあるが、比率だけでいうとイスラエルの方がやや多いくらいなのである。

 

彼らの多くは男女ともに18-22歳ごろに徴兵され、兵役を終えると大体1年ほどは海外放浪をし、その後から大学に進学することとなる。

そのため大学卒業は26~28歳と遅く、日本の大学生と比べるとモラトリアムが長く取れることがわかる。

 

兵役中、そういった部署に配属された若者たちは国家最先端のIT技術を学び、日々研究に勤しむ。

そう考えると、イスラエルは国と考えれば小さいが、「社員数800万人を誇り、莫大な予算のもと最先端の技術を追求しており、なおかつ優秀になった若い社員(100万人越え)を3年後には必ず放流する超大企業」だ。

ちなみに日本の会社で一番従業員が多いのはトヨタ自動車で、約34万人。もちろん一生懸命育てた若者を手放すなんてとんでもない。
日本はこの時点で、溝をあけられているような気がする。

 

そんな多感な時期を兵役で過ごし、社会ルールやITなどの専門知識をつけた彼らが通うこととなる大学は、それぞれが特徴を持っている。

立地だとかカラーだとかもあるのだが、今回はスタートアップ関連の特徴中心にフォーカスする。

 

 

 

1.イェルサレムヘブライ大学

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国立大学。所在地はイェルサレム。学生数は約2万人を超えている。

国際的に見ても優秀な大学であり、2015年の世界大学ランキングCWURでは堂々の23位につけている。(東京大学は13位、京都大学は17位!)

ここはイスラエルの地に、ヘブライ人の大学を設立するという夢を叶えるべく、その歴史の幕を切った。構想を支持した、かの有名なユダヤ人物理学者アインシュタインから生前に、研究資料や私的な手紙など8万点に上る資料の寄贈を受けている。

最初のキャンパスが開講されたのは1925年であり、その歴史はイスラエル国家自体よりも長いのだ。時には戦争下において、学生や職員は装甲バスでの通学を余儀なくされたこともある。

 

そんな彼らはYissumというTLOを持っており、これは大学の100%子会社として、知財関係を管理している。

イスラエルのスタートアップエコシステムにおいても重要な役割を果たしていて、技術移転事業者として世界で常にトップ10にはいる収益・評価を得ている。

特徴としてはアグリや製薬に強いことだ。

知財管理と共に投資テーマ別にファンドを形成しており、大学研究者が発明した技術を用いて興されたスタートアップの設立時に、知財の強さによって5~30%の株式を取得し、さらにその株式の半分を発明者個人へ渡している。

これにより、起業家・発明者・投資家全員の三方よしが成立し、そのお金を持ってそれぞれが新たなる挑戦に取り組んでいけるのだ。

日本ではこの分業があまりできておらず、発明者がそのまま起業家となることも多い。しかし経営のセンスと研究のセンスは別物であり、いくら研究者として天才であっても、経営者としても優秀であるわけではない。これは非常にもったいないことだと思う。

 

2.テルアビブ大学

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国立大学。企業が多く集積する大都会、テルアビブにある。(街の中で各機能ごとの建物が点在しているようだ)

1954年に前身となる研究機関が創立し、56年に現在の大学へと組織変更された。大学としては60年目ながらCWURでは86位にノミネート。(イスラエル人から言わせれば、「大したことない大学」だそう...レベル高いなあ)

 

彼らはECOMOTIONという組織を持っており、これはテルアビブ大学のインキュベーターの位置づけで、smart transportationに特化して、テルアビブ大学の知見の共有、ネットワーキング及び事業連携を促進するNPOだ。

スマートシティやスマートトランスポーテ―ションに強く、コミュニティとしては世界最大の組織の1つであり、2016年現在は700以上の加盟団体がいる。

毎年、下記のような大きいイベントも開催している。

www.ecomotion.org.il

まだまだ今後伸びてきそうな大学である。

 

 

3.テクニオン工科大学

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イスラエルハイファ地区にあり、こちらも1912年設立と建国よりも早くからある国立大学である。生徒数は1.2万人ほど。

 

日本での知名度はあまりなく、CWURはなぜか136位とふるわないが、超がつく名門である。

まず、世界の科学技術の発展に大きく貢献しており、これまでに複数人のノーベル賞受賞者を輩出している。

 

彼らもまた産学連携機能の組織を保有しており、それがTechnion Technology Transfer (T3)である。

1995年以来1,600のスタートアップが誕生しており、優秀なエンジニアにより世界初の無線技術マイクロプロセッサや飲む腸カメラ、迎撃ミサイル防衛システムなどがここから輩出された。

 

Technionのすごさは研究にとどまらず、ビジネスの世界においても圧倒的な強さを見せていて、なんとNASDAQ上場の約60%の会社において、Technion卒のマネジメントが在職しているという。他にもYahooの新規事業ヴァイスプレジデント、Appleの副社長等がTechnionの卒業生であり、多くのIT企業がR&Dセンターをハイファに設立する。そのため、強大なコミュニティを形成している。

 

 

以上のように、彼らは大学ごとに強いカラーを持つことで、その分野に強い学生・投資家・研究者・その他関連の人物を集め、能力やコミュニティをより強固なものにし続けている。

それが世界中からの投資やR&Dセンターを引きつける大きな原動力となっているだろう。

 

 

ちなみに、いくら優秀なスタートアップだとしてもすぐに買収されてばかりで大企業が育たないのは、国にとっては儲けが少ないんじゃないかと思うが、そこはきちんと整備されている。

それは、多くの世界的IT企業がイスラエルにR&Dセンターを設けるもう一つの理由でもある。

 

イスラエルは、基本的に海外企業がスタートアップを買収しても、知財を海外に移転できないという外資規制があり、出す場合は多額の違約金が必要となるのだ。

そのために、AppleIntelGoogleなどの有名企業は複数のセンターをイスラエル国内に持っている。

 

これは、イスラエルの若者が、国外に出ずとも、インターンなどを通し早くから世界的企業での鍛錬を積む多くの機会を生んでいる。

 

 

日本にも、学べる点は非常に多くあると思う。

少なくとも小生は、なぜ学生時代を日本で過ごしたのかと後悔している。(イスラエルとか、まだ誰も見てなかったし、めっちゃ狙い目だっただろ…!)

 

イスラエルという国は、政府・教育機関・企業が若者に対して多くのチャンスを創出している。世界に通用する人材へと伸びることのできる土壌が出来ているのだ。

 

現在は世界大学ランキングこそ勝っているのかもしれないが、このままではランキングも、そして世界的な地位においてもゆくゆくは大きく水をあけられる危険もあるのではないだろうか。